2019.02.18(月)
巫女草子
巫女草子 其の参拾肆「立春」
巫女草子へようこそのお参りです。
暦の上では2月4日に立春の日を迎えました。
しかし、福井県においてもまだ寒い日々が続いております。
「立春」とは旧暦における春の始まりを意味していますが、なかなか春の訪れを感じにくい時期ですよね。
実は、旧暦で過ごしていた昔の人々においても、「立春」の時期がはっきりと春だと感じにくいと思っていたことが読み取れる和歌が残されています。
・「春霞 たてるやいづこ みよしのの 吉野の山に 雪はふりゝ」よみ人しらず (『古今和歌集』巻第一 春哥上)
(意味)立春が来た。春の霞が立っているのはどこだろうか。ここ吉野の山にはまだ雪が降りつづけているというのに。
・「春来ぬと人は言へども 鶯の 鳴かぬかぎりは あらじとぞ思う」よみ人しらず (『古今和歌集』巻第一 春哥上)
(意味) 春が来たと世間の人は言うけれど、ウグイスが鳴かない限りは春ではないだろうと私は思う。
ご紹介した和歌はほんの一部ですが、「立春」の春を感じるのはその人自身が目に見える形、耳で聞こえる音などで感じたことから春を感じていたのではないでしょうか。
みなさんも、春の訪れを自分の五感で探してみると良いかもしれませんね。