神社コラム・044◆舞う巫女のすがた・扇結びの舞
巫女の仕事の中でもっとも華やかで、
かつ大事な役割といえば「舞い」が挙げられると思います。
鮮やかな衣装をまとい、流麗な所作で舞う巫女のすがたは、
まさにお祭りのハイライトと言えるでしょう。
出雲大社福井分院では結婚式やお祭りの際に、
「扇結びの舞(浦安の舞)」と「巫女舞(巫女神楽)」という、
二種類の舞いを奉納します。
今回の神社コラムは、2回に分けてそれぞれの舞いをご紹介します。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
神社コラム・040◆神社の顔・巫女さんのおはなし
神社コラム・041◆巫女さんの一日をのぞいてみよう
神社コラム・042◆巫女さんに話をきいてみよう【インタビュー】
神社コラム・043◆伝統のスタイル・巫女装束
●扇結びの舞(浦安の舞)
出雲大社福井分院ではおもに結婚式に奉納する舞いとして用いられています。
扇を手にとって舞うため、挙式の中では「扇結びの舞」と呼んでいますが、
「浦安の舞(うらやすのまい)」が正式な呼称です。
浦安の舞は昭和15年(1940年)に皇紀2600年を祝って作られた舞いで、
多くの神社で祭礼の際に奉納されています。
舞いの歌詞は昭和天皇の御製(ぎょせい・天皇陛下がよまれた和歌)
「天地(あめつち)の神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波立たぬ世を」
が用いられており、
そこに演奏は太鼓(たいこ)、篳篥(ひちりき)、神楽笛(かぐらぶえ)が演奏をつけます。
歌詞の内容は、
“朝の波一つ立たない海の様に、世の中が平和でありますようにと
この国のいたるところにいらっしゃる神様にお祈りします”
といったような意味合いでしょうか。
また「浦安」の「浦」とは人の心、「安」とはやすらぎを意味し、
「浦安」で「心のやすらぎ」、つまり「平和」を意味します。
過去の記事でもおはなしした様に、
かつては「みこ」という言葉を「神子」とも書き、
神様の声を聞いてひとびとへ伝えるのがその役割でした。
そのために我を忘れて舞うことで神様を感じ、
その声を聞くことができたと言われています。
また同時に、舞いは神様にささげるものでもありました。
神様にお米やお酒をお供えするように、神様のために舞いを舞うことで、
神様に喜んでもらうという意味があるのです。
巫女の舞は、神様のためにも人のためにもあるものと言えるでしょう。
●ただいま出雲大社では巫女のアルバイトを募集しています。
興味のある方は、出雲大社福井分院へお問い合わせください。
℡.0776-35-1187 (担当者・伊藤)